relax 2003|
12 82FREESTYLE 47Hoop is coming on the street日曜日、午後3時、代々木公園。ただいま即席フープ作ってます。「
SHU」(
Street Hoops Union)というバスケの集団を紹介したいと思います。バスケ集団といっても、いわゆるストバスのチームとはちょっと違いますよ。代々木公園に移動式ゴールを持ち込んで、ゲリラ的にサクッと即席フープ作って、何時間かプレイして、またサクッと撤収しちゃうヤツラ。「
SHU」の名でそんな動きを始めたのが去年のゴールデンウィークで、それからほぼ毎週日曜、通りすがりの人たちから歓声を浴びたり、飛び入り参加大歓迎で盛り上がったり、警備員と軽くもめたりしながら活動を続けてきました。「集団」の「活動」とかいうとカタいんですけど、まあ、部活でもないしサークルでもないし、もちろん会社でもないんで、フープのプをとって「プ活動」ぐらいのノリで適当にヨロシク。
バスケやりたいけど時間がない!場所がない!金がない!免許がない!とか言ってるキミや舘ひろしさんにぜひとも知ってほしい即席フープ。
「安西先生・・・・・・バスケが・・・・・・バスケがしたいんです・・・・・・」と号泣モードな三井くん(『スラムダンク』もいっかい読んでネ)に「じゃ、代々木公園行こうぜ!な!な!」と伝えてあげたい即席フープ。
この日、午後3時すぎからゴール立てて、相当ハードに遊びまくって撤収したのが午後6時ぐらい。で、そのあと彼らは近くの体育館を借りて、本気汁たっぷりの「床バスケ」の練習をみっちりとやってました!タフ!

(写真欄のコメント)
込み込みの駐車場(なにせ日曜)になんとか車を停め、移動式組み立てゴールのパーツもろもろ、ボール、ラジカセを下ろして、公園内までよっこら運んできて、いい感じのスペース(地面がフラット、通行人に危険が及ばない、でもある程度は人目につく)を見つけたら、組み立て開始です。完成までだいたい20分といったところでしょうか。ちなみにこの日の代々木公園ではフリマやってました。警備員のおじさんが「ここはバスケだめだよ」と注意しに来てたけど「ハーイ」と彼らが答えると去っていきました。意外とあっさり。
で、結局、どういう人たちなんでしょうか。
「SHU」のしゃべり場=ファミレスに潜入。代々木公園に自分たちでフープ組んでバスケやって、そのあと体育館に移って超マジモードでバスケやって、最後は原宿のジョナサンにみんなで移動してそこでもバスケ!じゃなくてメシ!でキッチリ仕上げるのが彼らのいつもの日曜日。「SHU」の中心メンバーふうな4人がドリンクバーで粘ってるテーブルを直撃!今はだいたい15人ぐらいがなんとなく集まってる「
SHU」だけど、フープを作り始めた当初のメンバーは、大学時代にバスケを通じて出会った友達5、6人だったそうです。
__バスケのサークルか何かで一緒だったの?
ヨシダ(写真右、以下、
ヨ)スタートしたときのメンバーは、もともと「
SHU」をやる前から遊んでたメンツなんだけど、みんな、大学のサークルに入れなかったヤツらなんだよね。
マー(写真左から2番目、以下、
マ)試しにちょこっと入ったりはしたけど、なんかノリ的に結局なじめなかったっていう。
ダイスケ(写真左、以下、
ダ)オレは何しろ一切勧誘されなかったんで、入るきっかけもなかったな(笑)。それにサークルって行事みたいのがあったりとか、やることが決まってて、今まで全然知り合いでもなかった人同士が普通に一緒にそれをやる、っていうのがイヤで。なんか不自然だし。
ヨ クラブとかで声をかけるのは平気だけど、合コンは苦手、みたいな感じ?
ダ 「この娘と付き合いなよー」って女の子紹介されても!っていうことかな。
マ で、サークル入らないとなかなかバスケやる環境がないから、都内とか千葉とか横浜にもフープはあるんで、そういうとこ行ったり、たまに自分たちで体育館借りたりとかしてて。
__代々木公園に自分たちの手でフープを作ろうと思ったのはどうして?
ヨ 単純に、東京の真ん中でバスケやりたかったんだよね。あそこにフープあったら楽しいだろうなあ、っていうのもあって。
マ 公園で日曜の昼下がりにバスケ、っていう雰囲気もいいなあって思ったし。
ヨ それで、移動式のゴールを、3万円ぐらいなんだけど、みんなでワリカンして買って。バスケを通してなんか面白いことやりたいね、っていう話は前から漠然とはあったので(という)名前を持たせて、ちょっと企画っぽくして(笑)。
__初めてゴールを立てたときはどうだった?
マ とりあえず、やっぱり警備員が来た(笑)。もちろん通行の邪魔になるっていうのもあるし、あと、今までに例がないことで、しかも目立つし、苦情の格好の餌食になる、って感じで。ある程度話したらどっか行っちゃったんで、そのまま続けたんだけど(笑)。
ヨ でもキャッチボールが良くてバスケがダメなのはなんで?って聞いても、ちゃんと答えてくれなかったし、じゃあどうすればできるようになるのか相談させてほしい、って言っても、とにかくバスケはダメだから、としか。で、その日じゃないけど、区役所に直接行って相談したり
もした。
__初日に手ごたえみたいなものはあった?
ヨ やっぱり飛び入りで誰かが入ってくれたのは嬉しかった。で、彼もその1人で。
リュウヘイ(写真右から2番目、以下、
リ)そんとき、たまたま代々木公園のフリマに行って、ブラブラしてたら、バスケのボール持ってる人たちがいて。上京してから、バスケできるところがなかったんで、あー!と思いながらじーっと見てて、「やらせてくれ!」って。ぶっちゃけ、あの日、もう実家に帰ろうかなと思ってて、でもバスケできる場所見つけたし、「また来週も来いよ」とか言ってくれて、いいヤツらだな~と思って(笑)。それからしょっちゅう来てる。
ヨ オレらも、見物してる人とか、明らかに興味ありげにじっとコッチをみてるこの人みたいなヤツとか(笑)にはできるだけ声かけて、一緒にやれたらいいなと思うし。
リ 外から中に入っていくのって、かなり勇気いるしな。オレは勢いでいっちゃったけど。
ヨ 今じゃあ、床バスケ(=体育館でやるフルコートバスケのこと)とか、リュウちゃんモロ本気だもんね。愛のムチなのか癇癪なのか分からないくらいのギリギリな感じで怒ったりさ(笑)。
__昼のストリートと、夜に体育館でやる床バスケは、やっぱりかなりノリが違うの?
ヨ 最初「
SHU」は、公園でオープンな感じで、気楽に楽しくやりたいねえ、ってところからスタートしたんだけど、仲間も増えていくなかで、やっぱりバスケやるからには上手くなりたいとか、試合出て勝ちたいとかって志向のヤツも増えてきたんで、そういう部分は夜の床バスケで。とにかくストイックにやってる。
ダ オレらはプロレベルのプレイヤーが集まってるわけじゃ全然なくて、もちろん、代々木のアイツらすげえって思われたらいいな、ってもはあるし、オレらの周りにいる違うチームに負けたりすれば相当悔しいし、個人レベルで、昨日より今日が上手くなりたい、っていう思いは持ってていいんだけど。でも昼のフープの考え方は、単純にいろんな人がバスケを楽しめる環境があればいいなあ、っていうことなんで。でも、そこに来たヤツがもっと激しくやりたければ、夜の床バスケに誘えるし、床バスケの大会でいい成績残せれば、ストリートでもやってるからそっちも来てよ、とか他のチームの人も誘えるし。
ヨ 一応、床バスケは別のチーム名がついてる。
ダ ROOPS。「
SHU」とは別のチームっていうよりも、お客さんを呼ぶイベントや内輪のパーティや床バスケのチームも含めた、「
SHU」というプロジェクトがあって、その中の1つの要素としての
ROOPS。
Roots of the hoopsの最初と最後の2文字をとって。だから、すごい大げさだけど、
ROOPSがの「
SHU」広告塔としてめちゃめちゃ強くなっていけば最高だなって。

__ところで、(今年8月末に)代々木公園にできたナイキのフープについてはどう思う?
マ もともと、個人的なつながりでナイキの人と話す機会があって、自分たちは移動式ゴールでフープつくってやってるっていう話をしたら、応援してくれたり、ボールやシューズを贈ってくれたり、フープの情報交換したりしてて。で、ナイキが代々木公園にフープを寄贈するらしい、っていう話は聞いてたんだけど、オレらがある晩代々木公園でボールつきながら酒飲んでたら、代々木公園の管理事務所の人がいきなり声かけてきて、今度フープが公園内にできるんだけど、キミたちの意見を聞きたい、って。で、通行人や子供や犬には注意しましょう、とか、ケガはツキモノだから自己責任にしましょうとか、ゴミの問題はちゃんとしましょうとか、そういう、すごく当たり前のことを伝えた。
ヨ やっぱり、ちゃんとしたフープができたのは嬉しかったよね。もともとは、単純に代々木公園でバスケできたらいいなあ、ってのが出発点だったわけだから。
__でも、ナイキのフープができたことで、「
SHU」としてはやりづらくなるんじゃない?
ヨ オレらがわざわざゴール持っていかなくてもよくなっちゃったね、っていうのはあるな。
ダ 極端なこと言えば、もうそこにフープあるんだから、オレらはそこでバスケやってればいいや、って気持ちも多少はあるけど・・・・・・。でも、せっかく今まで続けてきたし、別の場所を見つけてまたフープ作るのがいいのかなとも思う。
リ あ、前に海でもやったじゃん。御宿で。
ダ やったねえ、砂浜で。
リ ドリブルほとんどできなかったけど(笑)。
ダ なぜか海水浴客とかもまじってて(笑)。
リ あるはずのない海岸に、なんでこんなところにフープが!って(笑)。
ダ あれは完全に自分たちが楽しむためにやっただけだったけど、良かったよな。
マ そういう、自分たちが身の丈で楽しんでるのを、なんとなく人に知ってもらえると嬉しいよね。でも、週末にナイキのフープにただ集まってバスケやるだけだったら、ちょっと物足りなくなっちゃうような気もする。こないだ発電器も買っちゃったし(笑)。
ヨ 7万円ぐらいのけっこういいやつだしな(笑)。
マ それでターンテーブル置いてDJやったりしてイベントっぽいことをどんどんやってくのもいいのかもしれない。
ヨ 料理できるヤツも周りにいるし。
マ そうそう。豚汁作ったりとかさ。音楽できるヤツも料理できるヤツもいて、もちろんバスケが柱なんだけどいろいろ遊べるっていう。
リ バスで移動しながら、今日はここにゴール立てようぜ!とかね。
ダ それぐらいのことはやりたいよね。バスケ巡業っていうか、バスケ屋のキャラバンみたいな。
リ オレは、そういうふうにしてメシ食っていければ最高だと本気で思ってるけど。それが理想。
マ それは無理だろ。それに仕事チックになっちゃうと、なんか居心地悪くなりそうじゃない?
ダ あと、あんまりイベントっぽいことが行き過ぎるのはイヤだな。オレらはもともとバスケがやりたかったんだから。
リ でもユルさはあったほうがいいよね。バスケには没頭してるからダラダラしてはいないんだけど、どっかユルい感じで。
マ スチャダラみたいな?
ダ お前はほんとスチャダラが好きだな。
__フープではどういう音楽かけてるの?
マ オラオラ系のヒップホップは、あんまり。
ヨ ストリートバスケ=強そうなヒップホップ、みたいなイメージがけっこうあるんだけど、そうじゃなくてもいいよね。まあ、オラオラのかけてもOKなスキルがあればいいんだけど(笑)。
リ オレはコーンとかスリップノットとかのラウド系がめちゃめちゃテンションあがるね。
マ えー、疲れない?それになんか、客観的に見ると恥ずかしい(笑)。
リ いやそれはさ、ほんとは好きなのに、今ちょっと人気が落ちてるから恥ずかしいと思うだけでさ、それってダメじゃない?
マ そうだよ。そういうのダメだよ。でも恥ずかしいじゃん。っていうか、好きなのはお前だろ!
リ じゃ、ジャズとかボサノバとかは?
ダ いや、オレはやっぱメインストリームのヒップホップがいい。
ヨ じゃあ妥協して、ザ・ルーツとかアレステッド(・ディヴェロップメント)とかで(笑)。

(写真欄のコメント:右上)
そりゃあ、テンションあがりすぎたりハシャギすぎたりしますよ。外だからケガだって日常茶飯事。とりあえず、コケて出血した瞬間にみんな爆笑してた。
音楽をかける人は特に決まってないので、早いもん勝ち。というか、曲の途中なのに勝手に自分のに入れ替えちゃう人も。この日はだいたいヒップホップでした。
撤収したのは午後6時すぎ。もうほとんど真っ暗。ボールが見えるか見えないかギリギリのところでやるバスケってのもたまにはアリですよ。たまには。
(写真欄のコメント:左下)
「SHU」のメンバーによる別ユニット、映像チーム「MOL Films」。日本のストリートボール(観る人を楽しませるためにエンターテイメント性を重視したバスケスタイル。もちろん普通のバスケテクが優れてることが前提)の雄、
Far East BallsのPVなどを手がける
Middle Of Life Films。上の作品は、渋谷のバスケショップ「
PLAYERS」で、特典として限定100本のみ配布された、ストリートボールの今がたっぷり詰まったビデオ『B-Ballers Mix Tape Vol.1』。1本あげちゃう!
(写真欄のコメント:右下)
ここがナイキのフープです。もうすでに知ってる人も多いかもしれませんが、代々木公園の陸上トラックのそばにあります。もちろん参加自由。入り口も出口もなし。ちゃんとゴールも2つありますよ。めでたいめでたい。大事にガンガン使っていきましょう。ちなみに、下の写真は、「
SHU」のメンバーが、ナイキのフープに(もちろん自主的に)置くためのゴミ箱をペイントしてるところです。いいネ。